最終更新日 2021-11-30
日本国内には横浜の山手地区や神戸の北野異人館街のように、レトロな街並みで知られるエリアがあります。レトロな街並みと聞くと、何となく昔懐かしさや異国情緒を思い浮かべるのではないでしょうか。
福岡県北九州市にある「門司港レトロ」も、戦前に多くの企業や銀行が洋館を建てたため、国内有数のレトロな街並みで有名です。忙しい毎日に疲れ切っていて、日常とは離れた雰囲気を味わいたいのであれば、ぜひ門司港レトロを巡ってみませんか。
今回は北九州市にある門司港レトロの魅力やおすすめのスポットについて、色々とご紹介します。
- 門司港レトロとはどんな場所?レトロな港町について紹介!
- 門司港レトロの魅力・楽しみ方にまつわる3つのポイント
- 門司港レトロ観光で外せないおすすめ観光スポット12選をご紹介!
- 門司港駅:大正ロマン薫る門司港レトロの顔といえるスポット
- 九州鉄道記念館:展示車両などを家族で楽しめる施設
- 旧門司税関:映える赤レンガやパーラーが魅力のレトロ建築
- 旧大阪商船:八角形の塔とオレンジ色の壁タイルが特徴的
- 旧門司三井倶楽部:アインシュタインにもゆかりのある社交場
- 門司港レトロ展望室:港町の美しい夜景が見える展望台
- ブルーウイングもじ:カップルにうってつけな日本最大級のはね橋
- 大連友好記念館:海の向こうの街を感じられる洋館
- 門司港レトロ海峡プラザ:海を眺めながら地元グルメやショッピングが楽しめる
- 門司港レトロクルーズ:海上からエリア全域が見られる観光船
- 門司港レトロ観光線:関門海峡を眺めながら進むトロッコ列車
- 関門海峡人道:地下道を歩いて海峡を越える体験ができる
- 門司港レトロへのアクセス方法をご紹介!
- 門司港レトロ周辺の魅力的な観光スポット6ヶ所も合わせてご紹介!
- おわりに
門司港レトロとはどんな場所?レトロな港町について紹介!
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「”門司港レトロ”の名前を聞いたことがある」という人もいれば、「初耳」という人もいるでしょう。門司港レトロは横浜や神戸と並ぶ港町として栄えた歴史があるエリアで、各所にレトロな洋館が目立っています。「レトロな洋館」と聞くと興味をそそられる人もいるのではないでしょうか。まずは門司港レトロの基本情報や歴史などをご紹介します。
門司港レトロの基本情報をチェック!
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門司港レトロは関門海峡の九州側、福岡県北九州市門司区の一角にあるエリアです。かつて明治から昭和初期まで九州の一大貿易港・旅客港として栄えました。港がにぎわっていた時代には、銀行や大手企業が中心になってレンガ造りの洋館が建てられました。当時建てられた洋館の中には、文化財として大切に保存されているものもあります。
エリア自体は、1988年に玄関口である門司港駅が国の重要文化財に指定されたことをきっかけに整備されました。そして1995年に「門司港レトロ」として一般公開され、毎年約200万人が訪れる北九州市有数の観光スポットになっています。
門司港駅の改札から正面玄関に出て北に進むと、港一帯に多くの洋館が建っている様子が見られるでしょう。洋館の周りにある一般の建物も、多くが近代の建物のような外観になっているため、全体的にレトロな雰囲気を感じられます。歴史ある建物以外にも、「門司港レトロ展望室」や「ブルーウイングもじ」のようなデートに適した場所がある点も特徴です。
100年以上に及ぶ門司港レトロの歴史を解説!
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門司港レトロについて知るには、100年以上に及ぶ歴史を避けては通れません。門司港がたどった激動の歴史についても見ていきましょう。
戦前日本有数の一大貿易港として繁栄
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門司港は明治時代の1889年に、国が米や麦、石炭などを海外に輸出するための特別輸出港として開かれました。1891年には駅が開業し、内陸の筑豊炭田で豊富に採れた石炭を鉄道経由で輸出するようになります。また本州との連絡の面でも、下関から到着した連絡船から九州各地に向かう鉄道に乗り換える人々でにぎわいました。
やがて日本が中国大陸に進出すると、門司港は大陸に向かう兵士や軍需物資の積み出し港として重要な役割を果たすようになります。加えて、大正時代には中国やヨーロッパと定期旅客航路で結ばれ、横浜や神戸とともに三大港に数えられるほどに繁栄しました。
また同じ時期には、国内の有名銀行や商社が港の周辺に支店などを出店するようになります。現在エリア各所で見られる洋館は、このとき建てられたものを復元保存しているものです。
終戦後の衰退を経て観光地として復活
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しかし日本が戦争に敗戦した頃から門司港は衰退し始めます。終戦直後に中国大陸との貿易が縮小したうえ、高度経済成長期にはエネルギー革命によって石炭の需要が減少したことで、往時の華やかさが失われていきました。加えて戦時中の1943年に関門トンネルが開通したことも、門司港衰退の原因になりました。
門司港が再び注目されるようになったのは、1988年に門司港駅が国の重要文化財に指定されたことがきっかけです。かつて多くの銀行や商社が建てたレトロな洋館が残っていたため、観光資源として利用する動きが活発になりました。そして1995年に港の一帯は「門司港レトロ」として再出発し、現在まで国内外から多くの観光客が訪れています。
門司港レトロの魅力・楽しみ方にまつわる3つのポイント
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歴史や異国の香りを存分に感じられる門司港レトロに出かけてみたい人もいるでしょう。その際現地での観光を楽しむためのポイントが気になるのではないでしょうか。以下の3点を軸にエリアを巡ってみると、きっと忘れられないような思い出を作れるでしょう。
近代のレトロな街並みによるノスタルジックな雰囲気を味わえる
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門司港レトロの魅力や楽しみ方のポイントとして、まずはレトロな街並みが醸し出すノスタルジックな雰囲気を感じられる点です。門司港が近代に国内有数の重要な港だったこともあり、大手銀行や海運会社が設けた洋館が数多く残っています。
赤レンガが使われている分、一般的な街並みに比べて非日常感や異国情緒を味わいやすいです。また、建物の内装を細かく見ると、大正時代に流行した建築様式やデザインも見られます。
洋館以外に、周辺に建っているビル群からもレトロな雰囲気が感じられます。歴史的建造物である洋館に対し、現代的建造物であるビル群によって外観を調整しているためです。周りの建物群までレトロな外観を意識している分、散策しながらでも近代に繫栄していた時代の門司港の空気に浸れるでしょう。
美しい夜景や絶景スポットもお見逃しなく
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門司港レトロは夜景の美しさも大きな魅力です。日没を過ぎると、エリア全体でライトアップが行われます。洋館の壁がオレンジや白など温かみのある色になっているため、ライトアップによって優しさや幻想的な雰囲気を醸し出しやすくなっています。夜間デートでもロマンチックな雰囲気に浸れるでしょう。加えて夜間の港は静けさも漂っているため、なおさら落ち着いた気分になります。
また門司港レトロは、周辺も含めて絶景スポットが多い点でも人気があります。数々の洋館がインスタ映えするうえ、風光明媚な関門海峡に面しています。エリア内でもブルーウイングもじや門司港レトロ展望室などの絶景スポットがあります。
周辺には、関門橋や本州側の火の山展望台、皿倉山など、挙げ出すときりがありません。門司港レトロ観光と合わせて、周辺の絶景スポットも巡ってみるのもおすすめです。
焼きカレーなどの地元グルメはぜひ堪能したい
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門司港レトロを訪れたら、ぜひ地元グルメは逃さず味わってみてください。かつて海外との航路で結ばれていたため、大正ロマンや国際性を感じさせるおしゃれなグルメがあります。
ご当地グルメの代表格が、ご飯にカレーソースやチーズを掛けてオーブンで焼き仕上げた「焼きカレー」です。昭和30年代に門司港のある喫茶店で生み出されました。焼きカレーはエリア各所の飲食店でいただくことができ、お店によっては独自のレシピで提供しているところもあります。散策に合わせて食べ比べてみると良いでしょう。
また門司港は関門海峡に面しているため、対岸の山口県下関市と同じくふぐ料理も名物になっています。門司港エリアにはふぐ料理のお店も多いうえ、使われるふぐも近海で獲れた良質で鮮度の高いものです。門司港レトロの観光に合わせてちょっとした贅沢を味わってみるのも悪くありません。
ほかにも少し意外なグルメとして、バナナスイーツがあります。実は門司港は戦前から台湾産のバナナが多く入ってきていました。大量のバナナを効率よく売りさばくために「バナナのたたき売り」が登場したのも、戦前の門司港でのことです。バナナ売りが盛んだったこともあり、エリア内にあるカフェではバナナを使ったスイーツも多くいただけます。お店によってはバナナでコーヒーに香り付けをしているところもあるため、カフェも色々と巡ってみると良いでしょう。
門司港レトロ観光で外せないおすすめ観光スポット12選をご紹介!
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門司港レトロは、近代に建てられた洋館を中心に魅力的な観光スポットが至るところにあります。特に門司港レトロに出かけるのが初めてであれば、事前におすすめの名所についてさわりだけでも知っておきたいですよね。門司港レトロを巡るうえで外せない、おすすめのスポットを12ヶ所ご紹介しましょう。
門司港駅:大正ロマン薫る門司港レトロの顔といえるスポット
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門司港レトロを代表するスポットであるとともに、エリアの玄関口ともいえる駅です。1891年に現在の門司駅付近に九州鉄道の駅として開業、大正時代の1914年に現在地に移転しました。1943年に関門トンネルが開通するまでは、関門海峡連絡船と九州各方面に向かう列車の乗り継ぎ駅として機能しました。1988年に国の重要文化財に指定され、保存修理後の2019年にリニューアルオープンして現在に至っています。
駅舎はネオ・ルネッサンス様式で、大正時代に建てられた頃の姿をほぼ保っているのが特徴です。左右対称の外観や明るい緑色の屋根が特徴の木造二階建てで、大正ロマンの雰囲気を感じさせてくれます。駅構内には九州の鉄道路線の起点を示す0マイル標や、終戦当時に海外からの復員兵がのどを潤した「帰り水」など、歴史を感じられるスポットも多いです。駅員の制服もレトロさを醸し出す独特な仕様になっています。
駅舎内に出店している飲食店も魅力の1つです。2階にある「みかど食堂」は、1981年まで営業していたものを2019年の駅舎リニューアルに合わせて再オープンしました。地元グルメの焼きカレーをはじめ、パスタやスイーツなどを高級な味わいをいただけます。三等待合室だった場所にあるスターバックスコーヒーも、大正ロマンを感じながらコーヒーを飲める点でおすすめです。
■住所:福岡県北九州市門司区西海岸1-5-31
■営業時間:初電5:06/終電23:33
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅直結
■新型コロナウイルス対策情報:
構内各店舗でスタッフの感染症対策や設備のアルコール消毒、ソーシャルディスタンスなどを徹底
九州鉄道記念館:展示車両などを家族で楽しめる施設
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九州の鉄道について紹介している博物館で、門司港駅のすぐ隣にあります。国の重要文化財に指定されている本館は、明治時代に門司港駅を開業させた旧九州鉄道の本社として使われていたものです。
本館にはかつて九州各地で活躍した駅員の制服や、列車のヘッドマークなどが展示されています。往時の鉄道を写した写真資料も多いため、九州の鉄道の歩みを知るうえでもおすすめです。
また本館や屋外には、九州で活躍した蒸気機関車や特急などの実物車両も並べられています。一部の展示車両は内部に入ったり座席に座ったりできるため、昔の鉄道旅行気分にも浸れるでしょう。ほかにも運転シミュレーターや、子供も楽しめるミニ鉄道公園、多くの鉄道模型が走る大ジオラマまであります。大人から子供まで幅広く楽しめるでしょう。
■住所:福岡県北九州市門司区清滝2-3-29
■開館時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
■定休日:第二水曜(祝日の場合は翌日)
■入館料:大人300円、中学生以下150円(4歳未満は無料)
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より徒歩3分(駐車場なし)
■新型コロナウイルス対策情報:http://www.k-rhm.jp/news/detail.php?id=185
旧門司税関:映える赤レンガやパーラーが魅力のレトロ建築
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門司港駅からまっすぐ進んだところに見えてくる、船だまりの向かいに建つ赤レンガの建物です。明治時代の1912年に門司税関の庁舎として建てられ、昭和初期の1927年まで実際に税関業務で使われていました。1995年の門司港レトロオープンに先立って復元工事が行われた後、一般公開されています。
内部には税関の紹介コーナーや休憩所、展望室などがあります。赤レンガの瀟洒な建物の中でのんびりくつろぐという贅沢な休憩が可能です。加えて2階のテラスや3階の展望室からは、門司港レトロや関門海峡の全景も見えます。潮風を浴びながら、爽やかな気分で景色を楽しめるでしょう。
裏手にはフルーツパーラー「Mooon de Retro(モーン・デ・レトロ)」があります。「焼きバナナパルフェ」など鮮度の高い果物を使ったパフェが非常に人気です。港が望めるパラソル付きのテラス席もあるため、海を眺めながら美味しいパフェをいただけます。
■住所:福岡県北九州市門司区東港町1-24
■開館時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より徒歩3分(駐車場なし)
旧大阪商船:八角形の塔とオレンジ色の壁タイルが特徴的
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門司港駅からまっすぐ進んで突き当たりの場所にあります。大正時代の1917年に大阪商船の門司支店として建てられました。北向きに立っている八角形の塔と、外壁を彩るオレンジ色のタイルが特徴です。夜間のライトアップ時には、オレンジ色の壁タイルや内部の光がより優しく照らされます。
1階はイラストレーター・わたせせいぞう氏の作品を展示するギャラリーや、地元出身の作家が製作したTシャツを販売する場として活用されています。また奥には明治時代に作られた金庫も展示されており、施錠の解除に挑戦できる点も面白さが感じられるポイントです。カフェも出店しているため、海やレトロな建物群を眺めつつコーヒーなどをいただくのも良いでしょう。
■住所:福岡県北九州市門司区東港町1-24
■開館時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より徒歩3分(駐車場なし)
旧門司三井倶楽部:アインシュタインにもゆかりのある社交場
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門司港駅のすぐ目の前にある洋館です。大正時代の1921年に三井物産が宿泊施設や社交クラブとして建設しました。ノーベル賞を受賞したアインシュタイン博士や、『放浪記』で知られる作家・林芙美子氏も宿泊したことがあります。
骨組みを木造、壁をレンガや石で建造するヨーロッパの伝統的な建築様式が採用されている点が特徴です。また文化財としての価値も高く、門司港駅とともに国の重要文化財にも指定されています。内部は大正時代に流行した幾何学文様が特徴的なアール・デコ様式も見られるため、当時の芸術を感じられるでしょう。
1階部分はレストラン「三井倶楽部」として活用されています。優雅でレトロな雰囲気の中で地元グルメである焼きカレーやふぐ料理を味わえる点が魅力的です。
2階部分はアインシュタインメモリアルホールや林芙美子記念室になっています。特にアインシュタインメモリアルホールは、博士が来日した際に使った部屋が当時のまま残されているのが特徴です。調度品や家具に加えて来日時の博士の写真も展示されているため、本人がいた当時の雰囲気を感じられるでしょう。
■住所:福岡県北九州市門司区港町7-1
■開館時間:9:00~17:00(最終入館16:30)
■入館料(2階):大人150円、小中学生70円
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より徒歩約2分
門司港レトロ展望室:港町の美しい夜景が見える展望台
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旧門司税関から道路を挟んだ場所に建つ門司港レトロハイマートの31階に設置されている展望室です。高さ103mの場所にあるため、眼下には門司港レトロの全景や関門海峡、関門橋を一望できます。加えてカフェも併設されているため、飲み物や軽食を味わいながらゆっくり景色を楽しめるでしょう。
夕方から夜にかけての時間帯が、展望室の景色を堪能する上で最適といえます。夕方には関門海峡から玄界灘の方に沈んでいく夕日が見事です。さらに夜間には門司港レトロ全域がライトアップされるため、より幻想的な絶景が広がります。デートにはぴったりの場所で、カップルや新婚夫婦などが訪れるうえで非常におすすめでしょう。
■住所:福岡県北九州市門司区東港町1-32 レトロハイマート31F
■開館時間:10:00~22:00(最終入館21:30)
■入館料:大人300円、小中学生150円
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より徒歩約7分
ブルーウイングもじ:カップルにうってつけな日本最大級のはね橋
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門司港駅からまっすぐ進んだ先にある船だまりに架かるはね橋です。全長は108mにも及び、日本最大級のサイズを誇るはね橋としても知られています。なお、橋が開くのは10:00~16:00の1日6回で、定刻になると毎回4分かけて最大60度まで開く仕組みです。
門司港エリアきってのデートスポットとして知られています。「橋が閉じた後、最初に通ったカップルは永遠に結ばれる」という言い伝えもあり、「恋人の聖地」として認定されているほどです。ちなみに橋の上からは、関門海峡や関門橋の雄大な姿が見られます。特に夕日が美しいため、ロマンチックなひと時を過ごせるでしょう。
■住所:福岡県北九州市門司区東港町1-32
■開橋時間:10:00 / 11:00 / 13:00 / 14:00 / 15:00 / 16:00
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より徒歩約5分
大連友好記念館:海の向こうの街を感じられる洋館
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門司港レトロハイマートのすぐ手前にある赤レンガの洋館です。門司港がある北九州市と中国の大連市の友好都市提携15周年を記念する意味で建てられました。正確には、1902年にロシア帝国が大連市に設置した東清鉄道汽船事務所を複製する形で建てられたものです。
建物はドイツ風の建築様式が活かされており、外観のクラシックなさまが魅力的です。内部は1階が中華レストラン、2階が友好都市である大連市を紹介・PRする展示室という造りになっています。レストランや展示室を見て回ると、海の向こうにある異国の港町に思いを馳せられるでしょう。加えて、19世紀末から20世紀初頭に広まったアール・ヌーヴォー様式のタイルや暖炉もあり、当時の流行にも触れられます。
■住所:福岡県北九州市門司区東港町1-12
■開館時間:9:00~17:00
■定休日(中国料理大連あかしあ):毎月最終月曜
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より徒歩約8分
門司港レトロ海峡プラザ:海を眺めながら地元グルメやショッピングが楽しめる
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門司港駅から歩いて約2分、まっすぐ進んで船だまりに着いたところの右手にそびえる複合商業施設です。地元グルメのレストラン・カフェや土産物店が出店しており、散策の途中での休憩やランチ、お土産探しなどに向いています。加えて港沿いにはテラス席も多く設置されているため、海を眺めながらのんびりするうえでもおすすめです。
また、ミュージアム施設も多く設置されています。中でも「オルゴールミュージアム門司港」では、製作体験を通じて世界に1つだけのオリジナルオルゴールが作れる点で魅力的です。ほかにもガラス細工やトリックアートのミュージアムもあるため、存分に楽しい体験ができます。
■住所:福岡県北九州市門司区港町5-1
■開館時間:物販10:00~22:00/飲食店11:00~22:00
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より徒歩約2分
門司港レトロクルーズ:海上からエリア全域が見られる観光船
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門司港レトロの街並みを海の上からじっくり見ることができるミニクルーズの観光船です。門司港レトロ海峡プラザから発着しています。
船だまりからブルーウイングもじを経由し、20分かけて近海を1周するというルートです。日中から日没まで運行しているほか、日没後のナイトクルーズまであるため、普段の風景も夜景も楽しめます。
特におすすめなのが日没以降に運航される便です。夕方時であれば夕日に照らされる街並みや水面の景色を堪能できます。夜間の場合は、ライトアップされる街並みが醸し出す懐かしい雰囲気をたっぷりと味わえるでしょう。
■住所:福岡県北九州市門司区港町5-1 海峡プラザ前乗船受付ブース
■営業時間:11:00~日没・日没後1~2回(土日祝日は10:00~)
■乗船料:大人1,000円、小中学生500円
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より徒歩約2分
■新型コロナウイルス対策情報:http://www.kanmon-kisen.co.jp/index.html
門司港レトロ観光線:関門海峡を眺めながら進むトロッコ列車
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九州鉄道博物館から出ている観光列車で、関門橋に近い関門海峡めかり駅までの約2㎞で運行されています。もともと貨物線として使われていた線路跡を、観光路線として再活用したものです。
運行されている列車はトロッコ列車で、小さくてかわいらしいディーゼル機関車が2両の車両を引っ張っています。加えて時速15㎞と非常にゆっくり走るため、のんびりと門司港レトロや関門海峡の風景を楽しめるのが魅力です。ちなみに日本一遅い列車としても知られています。
なお終着駅の直前にあるトンネルに差し掛かると、車内がライトアップされる演出がある点も人気の秘密です。天井や壁、窓には関門海峡を泳ぐ魚などが浮かび上がるため、テンションもかなり高くなるでしょう。
■区間:九州鉄道記念館駅~関門海峡めかり駅
■運行時間:九州鉄道記念館駅発:10:00~16:40/関門海峡めかり駅発:12:00~17:00
■料金:大人300円、小中学生150円
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より徒歩約3分
■新型コロナウイルス対策情報:http://www.retro-line.net/blog/2020/06/29/
関門海峡人道:地下道を歩いて海峡を越える体験ができる
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門司港レトロ観光線の終着駅・関門海峡めかり駅から西へ約7分行ったところにあります。名前の通り、関門海峡の真下を本州側の下関まで歩いて通れる道です。全長は約780m、所要時間は15分程度で、自転車や原付も手で押す形であれば通行できるようになっています。
海峡の下を通れる人道自体が世界的に珍しい存在である分、普段なかなか体験できない思い出を残せるでしょう。また中間地点には福岡県と山口県の県境と、本州と九州の境を示す線が引かれていて、ワクワクしながら歩いて行けます。
天井と両側の壁には海や魚の絵が描かれているほか、両側の出口付近には記念スタンプがある点もポイントです。海底を歩きながら遊び心を感じられる点も魅力となっています。
■住所(門司側出入口):北九州市門司区門司
■通行可能時間:6:00~22:00
■料金:歩行者無料、自転車・原付20円
■アクセス:JR鹿児島本線門司港駅より西鉄バス乗車、「関門トンネル人道口」バス停すぐ
■新型コロナウイルス対策情報:各自でアルコール消毒や三密対策、ソーシャルディスタンスなどを徹底してください
門司港レトロへのアクセス方法をご紹介!
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魅力的なスポットに事欠かない門司港レトロに行く場合、アクセスも気になるのはでないでしょうか。東京や大阪などの遠隔地や地元からアクセスする場合、様々な方法を利用できます。
電車でアクセスする場合
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電車を利用する場合は、JR鹿児島本線の門司港駅が最寄り駅です。門司港駅にアクセスするには、手前の小倉駅を経由します。小倉駅までは新幹線利用の場合、東京から約4時間40分、新大阪から約2時間10分です。また博多駅からであれば16分で到着します。小倉駅からはJR鹿児島本線の門司港行きを利用すると、約15分で門司港駅に到着です。
なお博多駅からはJR鹿児島本線の門司港行きを利用すれば、乗り換えなしでアクセスできます。所要時間は約1時間30分です。
車でアクセスする場合
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車でアクセスする場合は、九州自動車道または北九州都市高速と一般道を利用します。東京や大阪方面からアクセスする場合は、関門橋を渡った先にある九州自動車道門司港I.C.から福岡県道72号線を経由するルートです。インターからは約5分で到着します。
福岡市方面からの場合は、九州自動車道の八幡I.C.から北九州都市高速4号線を利用するルートです。都市高速の終点である春日I.C.から福岡県道25号線を経由します。春日I.C.からの所要時間は約5分です。
門司港レトロには、門司港レトロ展望室や関門海峡ミュージアムの近くなどに駐車場が設けられています。門司港レトロ展望室に近い市営駐車場は約140台分が、関門海峡ミュージアム近くの駐車場は約180台分が利用可能です。なお両方とも24時間営業となっています。
福岡空港や北九州空港経由でアクセスする場合
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福岡空港や北九州空港を経由して門司港レトロにアクセスすることもできます。福岡空港からは小倉駅に向かう西鉄バスを利用し、小倉駅から鹿児島本線で門司港駅に向かうルートです。所要時間は約1時間35分程度となります。
北九州空港からアクセスする場合も、小倉駅までのノンストップバスを使い、小倉駅から電車で門司港駅に向かう方法です。所要時間は約50分程度となります。
新門司港経由でアクセスする場合
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門司港レトロは東京や大阪などからフェリーを使ってアクセスすることもできます。フェリーを利用する場合は、新門司港を経由することになります。新門司港に到着した際、無料のシャトルバスやタクシーでJR門司駅に移動し、門司駅からは鹿児島本線で門司港駅まで向かいます。門司港駅からの所要時間は約30分です。
門司港レトロ周辺の魅力的な観光スポット6ヶ所も合わせてご紹介!
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門司港レトロは周辺にも様々な観光スポットがあります。予定に余裕があれば、合わせて出かけてみると良いでしょう。門司港レトロと一緒に巡ると良いおすすめの6ヶ所をご紹介します。
小倉城:北九州市のシンボル的存在である名城
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JR小倉駅から南西に歩いたところにある、北九州市のシンボルとして親しまれている城です。1602年に戦国武将の細川忠興が小倉に入った際に築城しました。1959年に再建された天守閣は、5階部分が4階部分よりも大きい「唐造り」と呼ばれる独特の造りになっています。加えて、石垣は築城当時の状態で残っている点で貴重です。「野面積み」と呼ばれる、戦国時代に広く使われていた建築技法を今でも見られる点で価値があります。
天守閣は歴史博物館になっており、細川忠興と妻のガラシャ夫人の生涯や、小倉の城下町に関する展示が見られます。中でも城下町の賑わいを再現したジオラマは圧巻です。加えて最上階は展望台になっており、360度のパノラマで小倉の市街地を見渡せます。
小倉城は桜や紅葉のスポットとしても有名です。特に桜は300本が植えられており、満開になった際には天守閣との組み合わせでベストショットが撮れます。ほかにも天守閣の近くには庭園もあり、美しい日本庭園や江戸時代の大名屋敷建築をじっくり見て回れます。
■住所:福岡県北九州市小倉北区城内2-1
■営業時間:9:00~18:00(11~3月は17:00まで・最終入場時間は閉門30分前)
■入場料:一般350円、中高生200円、小学生100円
■アクセス:JR小倉駅より徒歩約15分・西小倉駅より徒歩約10分
■新型コロナウイルス対策情報:https://www.kokura-castle.jp/covid-19/2020/05/
皿倉山:新日本三大夜景にも数えられる美しい景色を楽しめる
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北九州市でもやや西側の八幡東区にそびえる標高622mの山です。山頂からは玄界灘や洞海湾、関門橋などが一望できます。特に夜景は宝石をちりばめたような美しさで知られ、「新日本三大夜景」にも選ばれているほどです。
山頂へは麓からケーブルカーとスロープカーを乗り継いでアクセスできます。登っている途中も急に景色が広く見えたり、秋には紅葉が美しかったりするなど見どころが満載です。また山頂にはレストランもあり、ゆったり食事をしながら絶景を見渡せます。夏場には花火が打ち上がるさまを夜景とともに見られるため、印象深い思い出を残せるでしょう。
ほかにも山頂の近くには天空ドームもあり、「恋人の聖地」として認定されています。天井部分が金属製の骨組みでできているため、カップルで夜景や星空を楽しみながら愛を確かめ合えるでしょう。
■住所:福岡県北九州市八幡東区大字尾倉1481-1
■ケーブルカー運行時間:10:00~22:00(時期により変動)
■運休日:原則火曜(祝日・イベント日は除く)
■運賃(往復通し券):一般1,230円、小人620円
■アクセス:
・JR鹿児島本線八幡駅より無料シャトルバスで約5分
・北九州都市高速4号線大谷ランプより約5分
■新型コロナウイルス対策情報:各自でアルコール消毒や三密対策、ソーシャルディスタンスなどを徹底してください
河内藤園:藤の花の美しさで国内外からの人気が高い
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北九州市八幡東区にある藤の名所です。1977年に樋口正男氏が開いたもので、園内には22種類約100万本もの藤が植えられています。春先に一斉に花を開いた藤が作り出す絶景は、アメリカでもCNNが「日本で最も美しい場所」を扱った特集で選んだほどです。
園内で藤を鑑賞する際のおすすめの場所として、2ヶ所の藤棚と藤のトンネルが挙げられます。中でも藤のトンネルは80mのものと110mのものがあり、紫・白・ピンクの花が見られて幻想的な気分に浸りやすいです。グラデーションが非常に美しいこともあり、SNS映えする写真を撮影するにはうってつけでしょう。
なお河内藤園は紅葉の名所としても有名です。秋になると700本ものイチョウが色づいて、美しい並木道を作り出してくれます。
■住所:福岡県北九州市八幡東区河内2-2-48
■営業時間:4~5月:8:00~18:00/11~12月:9:00~17:00
■入園料:春季1,500円/秋季500円
■アクセス:北九州都市高速4号線大谷ランプ・山路ランプより約20分
■新型コロナウイルス対策情報:各自でアルコール消毒や三密対策、ソーシャルディスタンスなどを徹底してください
千仏鍾乳洞:冒険心をくすぐられる快適さもある鍾乳洞
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北九州市の南部、小倉南区にある鍾乳洞です。国内有数のカルスト台地である平尾台に位置しており、数千万年もの長い時間をかけて形成されました。洞窟の正確な全長は今も不明ではあるものの、入口から900m地点までは探索が可能です。なお昭和初期の1935年に国の天然記念物に指定されています。
洞窟の内部は夏場で16度、冬でも14度とほぼ一定の温度が保たれている点が特徴です。極端な温度変化がない分、1年を通じて快適に過ごせるため、子供や年配の人と一緒に来ても楽しめます。
また、岩が垂れ下がっているのが特徴的な「天蓋岩」をはじめ、洞窟内に様々な名所がある点も魅力的です。加えて500m地点にある「奥の細道」からは、水流の中を進むというなかなか味わえない冒険を体験できます。日常生活でマンネリを感じている人は、ぜひ訪ねてみると良いでしょう。
■住所:福岡県北九州市小倉南区平尾台3-2-1
■営業時間:9:00~17:00(土日祝日18:00まで・秋冬は日没まで・最終入場時間は時期により変動)
■入場料:一般900円、中学生600円、小学生500円、幼児(4歳以上)200円
■アクセス:
・JR日田彦山線石原町駅よりタクシーで約20分
・九州自動車道小倉南I.C.より約20分
■新型コロナウイルス対策情報:各自でアルコール消毒や三密対策、ソーシャルディスタンスなどを徹底してください
火の山公園:本州側から関門海峡の絶景が見渡せる
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関門海峡の対岸、本州側の下関市にそびえる火の山に設けられた公園です。門司港レトロからは観光線の終着駅・関門海峡めかり駅で下車し、関門海峡人道を通ってもアクセスできます。なお冬場以外であれば、麓からロープウェイを使って山頂に行けます。
山頂には展望台が設けられており、見える景色は関門海峡や関門橋、門司港レトロまで一望できるほどの絶景です。特に夜景は門司港レトロなどのライトアップが見えることもあり、「日本夜景遺産」に認定されるほどの素晴らしさを誇っています。
加えて、火の山は地元有数の桜の名所としても有名です。全山で植えられている桜の木は約1,000本に及びます。満開の桜の木々と関門海峡が作る景色を美しく感じることができるでしょう。なお桜の時期が過ぎるとツツジが美しく咲き誇るため、合わせて見どころです。
■住所:山口県下関市みもすそ川町
■営業時間:自由
■ロープウェイ運行期間・時刻:3月中旬~11月下旬/10:00~21:00
■ロープウェイ運賃(往復):大人520円、小人260円
■アクセス:
・JR下関駅よりバス乗車、「火の山ロープウエイ」停留所下車後、山頂まではロープウェイ4分
・中国自動車道下関I.C.より約10分(山頂に駐車場あり)
■新型コロナウイルス対策情報:https://shimonoseki.travel/event/index.php?eid=79&year=2017&month=3&day=&area%5B%5D=
赤間神宮:平家一門終焉の地にある怪談でも有名な神社
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関門トンネル人道から西側に行った場所に鎮座する神社です。壇ノ浦の戦いでの平家滅亡の際に入水された安徳天皇を祀っています。また怪談「耳なし芳一」の舞台としても有名です。
外観は白壁と赤い柱・欄干が目立っており、まるで「浦島太郎」の竜宮城に来たような気分になるでしょう。境内には安徳天皇の御陵や平家一門のお墓もあり、平家終焉の地であることを感じさせられます。ほかにも芳一の木像がある芳一堂や、「源平合戦図」などがある宝物殿も見どころです。
なお赤間神宮のご利益として、水難除けや家内安全、夫婦円満などが挙げられます。恋愛関係のご利益もいただけるため、カップルでの旅行で訪れても良いでしょう。
■住所:山口県下関市阿弥陀町4-1
■参拝時間:6:00~18:00(宝物殿:9:00~17:00)
■宝物殿入館料:100円
■アクセス:
・JR下関駅よりバス乗車、「赤間神宮前」停留所下車すぐ
・中国自動車道下関I.C.より約13分
■新型コロナウイルス対策情報:スタッフの感染症対策や設備のアルコール消毒、ソーシャルディスタンスなどを徹底
おわりに
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今回は門司港レトロについて色々とご紹介しました。1世紀以上にわたる歴史を持ち、往時の繁栄を示すレトロな街並みがあるため、実際に巡ってみると懐かしさを感じるでしょう。また海外とも結ばれていた分、異国情緒な雰囲気にも触れられます。
加えてすぐ近くに関門海峡があるため、美しい絶景や夜景を堪能するうえでもおすすめです。周辺にも魅力的なスポットが多くあるため、ぜひ一緒に巡ってみると良いでしょう。
門司港レトロは日常を忘れたり、ロマンチックな雰囲気を感じたりする上でうってつけのエリアです。日常に疲れを感じているのであれば、ぜひ訪れてみてください。
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